2019年03月06日

住民税部分の問題で自己負担が2,000円で済まないパターンの話

ふるさと納税です。まだまだお問い合わせがあります。
まぁ、所得税や住民税等の絡みでいろんな疑問は尽きませんよね。
今回は割とやっかいな問題なんで、また先に簡単な結論から言います。

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2,000円で済まないケースが色々とあります。
例えば上記のリンクにあるような
「住宅ローン控除があって、確定申告する人の一部」とか、
「寄附金控除で所得税部分の課税総所得が下がった結果最高の所得税率が下がるケース」とかです。
中でもちょっとやっかいなのが「住民税側の税額控除の計算式で齟齬が出る」ケースなのですが、

難しい事を読みたくない人向け↓
結局お礼の品の価値を考えると2,000円で済まなくてもお得になるので無視してOK

です。

住民税側の税額控除の計算の齟齬って何?
ここからは結構マニアックなお話しとなります。
まず「ふるさと納税だけに許されている、住民税をとっても引いてくれる税額控除」ってのがあります。
コイツがあるおかげで、基本ふるさと納税は上限以内の寄附なら2,000円の自己負担で済むのですが、
その計算式は、世間一般では
住民税からの控除(特例分) = (ふるさと納税の寄附金額 − 2,000円)×(90%−所得税率×1.021)
ふるさとチョイス様でも弊社サイトでもこう書いてありますね。
んで、上限は「個人住民税所得割額の2割」ですと。

実はですね、この赤字で塗った「所得税率」が、
実際の所得税率じゃないんです。
90%-所得税率×1.021の部分ですが、
正式名称を「特例控除割合」と言います。

ここの「特例控除割合」の求め方なんですが、
ほとんどの人は真の「所得税率」と同じなんですが、
実際には所得税率を計算するにあたって、

地方税法第37条の2第2項第1号で規定する「地方税法第35条第2項に規定する課税総所得金額から地方税法第37条第1号イに掲げる金額を控除した金額」となります。この金額は、個人住民税の課税総所得金額から人的控除差調整額を控除した金額となります。

となるんですよ!!
って言っても全然何の事かわかりませんよね。
(わたくしも全然分かりませんでした)

語弊を恐れず簡単に言うと

「人的控除(基礎控除とか扶養控除)」は所得税の方で見てね
ただし「生命保険料控除とか地震保険料控除」は住民税の方で見てね
という事らしいです。

所得税と住民税で、控除額が変わるものってのがいくつかあって、例えば
「基礎控除」だと所得税:38万円 住民税:33万円
といったように、控除額の変動があります。これがめんどくさいんですよね。
その中でも生命保険料控除と地震保険料控除だけは「住民税側の控除」を使って、課税総所得金額を出して、その金額に応じた所得税率で計算してね、という事なのです。

例(いずれも数値は所得税ベース)
年収680万円、扶養親族なし、社保控除1,100,000円
生命保険料控除 120,000円 地震保険料控除 50,000円

この方の場合の控除上限金額は98,866円と出ます。
ただし、上記の「住民税側の問題」が出るので
9万円寄附した場合の税の軽減額=所得税9,000円、住民税70,200円=79,200円
となるので、10,800円くらいは自己負担となってしまいます。

例の「特例控除割合」の計算をしてみましょう。

所得税側の課税総所得金額=3,270,000円=最高税率は10%
特例控除を計算する際は、生保控除と地震控除は住民税側を利用するため、
所得控除の金額が
生保:12万円-7万円=5万円 地震:5万円-2.5万円=2.5万円
合計7.5万円減るので、特例控除割合を計算すべき課税総所得金額が、
3,345,000円=最高税率は20%

特例控除割合のパーセンテージのズレを計算式に当てはめてみましょう。
(ふるさと納税の寄附金額 − 2,000円)×(90%−所得税率×1.021)

(9万円-2,000円)×(90%-10%×1.021)=70215.2円
(9万円-2,000円)×(90%-20%×1.021)=61230.4円

という事で、「計算上は2,000円で済む上限を超えていない」のですが、
「税額控除の計算構造上どうしても2,000円では済まない現象」というのが起きてしまうんです。

ここで問題になってくる弊社の計算シミュレーション(お詫び)
そして弊社監修のシミュレーションに関しては、
「生命保険料控除の住民税側の控除額減衰をファジーに行っている」ため、
どうしてもこの特例控除割合の齟齬の判定が甘くなっています。

これは、計算シミュレーションを分かりやすく使っていただくための措置です。
たとえば、源泉徴収票ならば「新生命保険料の金額」とかが載っているので、それらの金額を入れてもらえればきっちり出せるんですけれど、確定申告書の第1表のみだとか、住民税の決定変更通知書だとかで計算する方も大勢いらっしゃいます。
ある程度大枠で計算できるように、あえてファジーに作っていまして、「じゃあ個別に枠作ってどっちでも対応できるようにしようよ」って言うのが本筋かもしれませんが、そうなると注釈付けても問い合わせが爆増する事が予想できてしまいます。
よってひとまずは、この方策を維持しようと思っていますが、また良い作戦が思いつけば、より正確に近づくように、より分かりやすく数値入力できるようにしてゆきたいと思います。

というか深掘りしまくると例外ばっかり出てくるんで、あんまり深く考えずに「お得な制度だな」とか思ってるのが、一番幸せかもしれません。けれども、わたくしどもはお仕事なので、そういう訳にはいきませんね……。
これからも改良できるところは頑張ってゆきたいと思っております。

ふるさと納税係 天野
posted by MMIスタッフ at 16:27| Comment(0) | ふるさと納税

2019年02月06日

「ふるさと納税で確定申告しても意味が無い」と税務署から言われた!

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どうも、ふるさと納税係です。そろそろ確定申告時期ですね。
還付の人は混み合うのを避ける意味でも、1月から確定申告できるです。
ただですね、今年もご相談でこの件が来たので、それなりに件数があるんじゃないかと思いまして、取り上げたいと思います。

Q:ふるさと納税を確定申告しようとして税務署に行ったのですが、「確定申告しても意味が無いからしなくて良い」と言われてしまったのですが……

A:詳しく計算しないと正確に答えは出ません。注意しましょう。


えーと、例えば所得が凄く少なくて、他の所得控除(扶養控除や社会保険料控除)が多い場合、上限金額はすごく少なく(0円という事もありますね)、寄附しちゃった場合。
元々税金が出ないので、控除をいくら積み上げても、戻ってくる金額は出てきません。

上記の場合は、税務署さんの言う事は正しいです。

ただ、住宅ローン控除で所得税がゼロになっている場合で、
住民税をかわりに引いてくれる額にまだ余裕がある場合は、
医療費控除やふるさと納税の所得税分の控除によって減る税金は、
「住宅ローン控除で住民税をかわりに引いてくれる額」に乗って、住民税を引いてくれる効果があります。

この場合は、税務署さんの言う事は正しくありません。



どうやって見破ればいいか

結構面倒なのですが、まず住宅ローンで「所得税が0円になっている」のが「還付が無いけど申告した方が良い状態」の第1条件です。
源泉徴収票の「源泉徴収税額」ってとこを見ると、住宅ローン控除を年末調整で出していれば「確定申告で何か出す前の所得税の額」が分かりますよ。

所得税が0円になっていた場合でも、パターンに別れて対応が出ます。

住宅ローン控除で所得税が0円になった後住民税を引いてくれる限界値は、

居住開始年月が
〜平成26年3月の方:9.75万円と前年課税所得×5%を比べて少ない方
平成26年4月〜平成31年6月の方:13.65万円と前年課税所得×7%を比べて少ない方

です。


年末調整で住宅ローン控除を出している人は

「住宅借入金等特別控除可能額(とても小さくかいてある)」マイナス「住宅借入金等特別控除の額」=所得税を引ききった後に残っている住宅ローン控除の額

となるので、この残額を上の判定に当てはめると、「まだ移動できる余地が残ってるかどうか」が分かりますよ。


んで、ここまでで分からない人は
書類をお手元にご用意して、平日10時〜15時の間にふるさと納税専用ダイヤルに電話してください。
こっちで無料で判定計算できますので。



で、税務署さんが間違っている場合ですが、住宅ローン控除の「まだ移動できる余地が残っている」場合は、医療費控除やふるさと納税の所得税分で減る所得税額が住宅ローン控除の「住民税へ移動できる」という特例に乗っかって、住民税から引いてくれます。

というか、所得税の確定申告をせずに、住民税の確定申告だけしてしまうと、本来乗っかってくれる分の申告をしないわけですから、住民税を減らしてくれる額をフイにしちゃうって事になります。


では、住宅ローン控除をフルに利用している場合はどうでしょう。

「代わりに住民税を引いてくれる枠まで使い切っている」場合は、医療費控除とかふるさと納税の所得税分の控除は出しても税を引いてくれない、という事になります。

ただ、この状態でも住民税所得割額という、儲けに対してかかる住民税は残っている場合が非常に多いです。
医療費控除やふるさと納税の所得税分はフイにはなりますが、上記はどちらも「住民税所得割額」を減らす効果がありますから、申告しない、というのはもったいないのです。

税務署職員からしたら所得税は関係ないんだから住民税の申告してくれよ、という気持ちもわからんでは無いですが、所得税の申告をすれば勝手に住民税の申告も併せてしてくれるわけだから、出さない道理は無いってことです。


結論としては

「住民税に関係があるので出させてください」と下手に出よう!

です。

短期間で人が税務署に押し寄せてくる確定申告時期です。
職員の皆さまは短時間で物凄い数の相談をこなさなければいけないので、こういった判断ミスも出てくるとは思います。
そこは「てめぇ間違ってるだろ!」と、押し問答するわけでもなく「たぶん住民税に効果出ると思うんスよねー、お忙しいとは思いますが提出させてくださいよー」とやんわりお願いしてみてください。

また、所得が低い場合とかで本当に申告しても意味が無い方はいますので、税務署の方の「申告しても意味ないよ」が正しい場合もあるのを再度書いておきます。


また、ふるさと納税だったら我々税理士法人エムエムアイ、他の相談なら税理士会や青色申告会等、その他もろもろの各団体が門戸を開いて相談ウェルカーム!!ってなってます。税に関わる人たちは、割と何とか頑張って「確定申告期間」というビックウェーブを切り抜けようと頑張ってますので、困ったら税務署以外にも相談できるところが無いか、見て回ると良いかもしれません。

病院とかで「セカンドオピニオン」って結構流行ったじゃないですか。
こういうご相談とかがあると、割と税金とかも単一的な相談窓口だけで済まさずに、セカンドオピニオン付ける意味ってあるんだよなぁって感じますね。


ふるさと納税係 天野正也
posted by MMIスタッフ at 17:28| Comment(0) | ふるさと納税

2018年11月21日

退職金はふるさと納税に使えないです!


関連するトピック
住宅ローン控除がある場合の計算の見方
給与収入以外を無理やり計算する方法(記事中ごろから)
確定申告すると戻る金額が悪くなる現象の解説(所得税率の低下)

はい、ふるさと納税のお問い合わせで結構多いのが、

「退職金はふるさと納税に使えますか?」

というお問い合わせです。
結論から言うと

「使えないです!」

って、言い切りたいです……。
でも各サイト「所得税の控除は受けられます」とか「出来る場合とできない場合があります」とか書いてありますよね?
まぁ、「退職金」って皆さんがイメージしてるモノで、貰い方だと、現状ふるさと納税に使用できません。
ただ、色々と「例外」があるんで、参るんですよね。


ふるさと納税に使えない! 退職金の例

退職時に一括で貰う退職金で、所得税も住民税も徴収済の源泉徴収票が出ている場合

はい、みなさんだいたい上記ですよね。
ただ、退職金って、年金扱いで貰う事もできるんですよ。
その場合は退職所得控除が使えなくなるんで、
他の年金収入の額にもよるけど、退職所得として貰う場合と比べると、
税の軽減が悪くなるケースが非常に多いんです。
税金払ってふるさと納税する枠を作る、ってのは本末転倒なんで、
ふるさと納税以外の理由で退職金を年金払いするか否かを検討しましょうね。

退職所得がふるさと納税で使えない理由
色々と解説してくださっているサイトを複数見ているんですが、
一番の理由として挙げられるのが
退職所得は「他の所得と分離して退職所得の発生した年に課税する現年分離課税主義」
を採用しているから、というもの。

普通の給与収入なんかは、源泉徴収って所得税しか、しないんですよ。
ただ、この退職所得だけは「住民税も先に徴収して、払った後の額を個人に支給してる」んです。
んで、「現年分離課税」に関しては、住民税サイドは「他の所得と損益通算もさせねぇし、所得控除も受け付けねぇし、税額控除については条文すら書かねぇからな?!」みたいな扱いなんです。

なお、このブログの内容については「みんなの税ツール @かいけいセブン」様を参照しています。
とても解り易くまとめてくださっていますので、良かったら見てみてください。
https://kaikei7.com/furusato_nouzei_taishokukin/

ふるさと納税係
posted by MMIスタッフ at 17:29| Comment(0) | ふるさと納税