2024年01月25日

ふるさと納税の控除上限金額は、他の寄付をすると減ってしまうの?

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住民税部分の問題で自己負担が2,000円で済まないパターンの話
2023年版、住宅ローン控除はふるさと納税にはあまり関係ないという説明

どうも、ふるさと納税係です。

この度の震災被害に遭われた方にお見舞い申し上げます。

「寄付をする」という行動について、ふるさとチョイス様とかの震災に対する寄付金額とかを見ると、ふるさと納税で醸成されているとも言えるんじゃないかなと思う今日この頃でございます。

さて、災害に対する寄付についてや、他の団体への寄付をした場合、ふるさと納税の自己負担が2,000円で済む控除上限金額はどうなっちゃうの?! ってご相談も結構来ますので、今回はこれを解説しますよ。


あまり細かい話を見たく無い人向け結論

1.ふるさと納税と、その他の団体への寄付は別モノだから控除上限金額は基本減らないと思って良い
2.ただし、寄附額全額が被災地へ行く「義援金」については、ふるさと納税扱いです


とまぁ、例によって結論から申し上げたんですが、すでに2パターンになっていますよね。
ちょっとめんどくさい話にはなります。あんまり難しい単語とか使わずに説明するので、気になる方はぜひ読んでいってください。


1.なんでふるさと納税の控除上限金額が減らないかの話

ふるさと納税は、上手い具合に住民税を引いてくれる控除があるため、
控除上限金額以内の寄付なら自己負担が基本2,000円で済む仕組みになっています。

確定申告した場合の計算を見てみましょう。

所得税の所得控除:(寄附額-2,000円)×(所得税率×1.021)
住民税の税額控除(本則):(寄附額 − 2,000円)×10%
住民税の税額控除(特例):(寄附額 − 2,000円)×(90% − 所得税率×1.021)


このように、ふるさと納税は内部で3パターンの税の軽減計算をしています。

んで、その各控除の限界値が、法的に決まっているんですね。青天井で税金を引いてくれるワケじゃあ無いんです。

各控除の寄附額の上限
所得税の所得控除:所得の40%までが上限
住民税の税額控除(本則):所得の30%までが上限
住民税の税額控除(特例):個人住民税所得割額(調整控除後)の2割までが上限


この中で、一番上限が低いのが、

住民税の税額控除(特例):個人住民税所得割額(調整控除後)の2割までが上限

これになるので、ふるさと納税の控除上限金額シミュレーションって、つまりこの上限に合わせて計算しているって寸法です。

では、他の団体への寄付はどうなっているのかって言うと、

認定NPO法人や公益社団法人等への寄付で、一定の要件を満たすものの場合
所得税の所得控除:(寄附額-2,000円)×(所得税率×1.021)
or
所得税の特別控除:(寄付額-2,000円)×40%=税額控除(100円未満切捨)


★法令や都道府県・市区町村の条例によって定められている場合
住民税の税額控除(本則):(寄附額 − 2,000円)×10%(都道府県4%・市区町村6%)


という税金の引かれ方をします。
そして上限については

所得税の所得控除:所得の40%
or
所得税の特別控除:所得税額の25%

住民税の税額控除(本則):所得の30%

となっています。
ふるさと納税の上限計算において、一番低い

住民税の税額控除(特例):個人住民税所得割額(調整控除後)の2割までが上限

という部分が、他の団体への寄付の場合適用されないので、
ふるさと納税とカブってる「所得の40%・所得の30%」という部分しか見なくて良い訳です。

つまり、他団体とふるさと納税の寄付を合わせて所得の30%を超えるような大きな寄付をしない限りは、
ふるさと納税に基本影響する事はありません。


1.1 例外でふるさと納税に干渉するケース

さて、上記までで「基本」ふるさと納税と他の寄付は干渉しないと述べましたが、
例外、あります……。

所得税率の変動により、ふるさと納税が2,000円の自己負担で済まないケース

こちらのリンクで説明している、所得税率の変動なんですが、

所得税の所得控除:(寄附額-2,000円)×(所得税率×1.021)

この控除って、他の団体への寄付でも受けられるケースがあるよって説明したじゃないですか。
なんで、本来ふるさと納税だけ寄付して、その上限内なら所得税率が変わらないんだけれど、
他団体への寄附金控除を鑑みると、税率が変動する事もあるんですよね。
その場合、控除上限金額以内の寄付であっても、自己負担が2,000円で済まなくなる事があります。
ただ、リンク先で説明している通り、それほど自己負担が増加する訳ではないので、
あんまり気にしなくても良いです。


2.全額が被災地へ行く義援金は「ふるさと納税」扱いです。

また厄介な話になるんですが、日本赤十字社や社会福祉法人中央共同募金会などが募っている寄付については色々用途がありますが、災害が起きた場合「その災害の被災地へ全額拠出される募金」てのがあります。
難しく言うと「最終的に被災地方団体又は義援金配分委員会等に拠出されるもの」です。
これってつまり、その地域に納税しているようなものじゃないですか、だから制度上、ふるさと納税扱いにしてくれています。

ただ、通常のふるさと納税とは異なり、ワンストップ特例は利用できません。寄付先が地方自治体ではあるんですが、寄付された自治体ではとりまとめて義援金を受け取るため、ワンストップ特例の申請を受けても「どのお金があなたの寄付かわかりません」という状態のためです。
そのため、義援金である事を証明する行為は、寄付した人がちょっとがんばらないとダメです。
「寄付した事が分かる口座振り込みの控え」と「その口座が義援金を募集していると分かる資料」が確定申告時に必要です。税務署はそれを頼りに、その寄付を募った団体に照会する訳です。


被災地に寄付したい、だけどワンストップ特例を利用したい、という人は、各ふるさと納税のポータルサイトが行っている、災害支援ふるさと納税を利用しましょう。
こちらは被災地の自治体への直接寄付となるので、ワンストップ特例がご利用いただけます。
また、大手ふるさと納税サイトであれば、災害支援の場合サイト側で手数料を取る事がありません(お礼の品も無いですが)。

また、被災自治体の職員さんはとっても忙しいじゃないですか。
寄附金受領書は、自治体でしか発行ができないんで、業者委託ができないらしいです(ソースはふるさとチョイス様)。
なんで、自治体同士で協定を結んでいて、災害支援のふるさと納税を、被災地域以外の自治体が募集する「代理寄付」という制度が爆誕しています。被災地域以外の自治体さんが、寄付を集めて、受領書を発行する、集めたお金は被災地の自治体に送金、という仕組みです。
これなら、被災地の復興をあまり邪魔する事なく、寄付を安心して行えますね。いい制度だ。


おまけ:ふるさと納税が一番効率が良い?

税額が減る寄附金控除の中で、ふるさと納税は「控除上限金額以内の寄付なら自己負担が2,000円で済む」という特性があるため、寄付者にとっては負担が一番少ない、効率の良い寄付になっています。
認定NPOやその他もろもろの組織への寄付は、ふるさと納税に比べると、どうしても「効率が悪い」と見られがちです。認定じゃないNPO法人への寄付とか、税の軽減効果ゼロなんで、ホントに全額寄付です。

ただ、今回の震災で活躍していらっしゃるNPO法人様もたくさんいらっしゃいます。その方々の活動の助けをしたい、という場合は、ぜひその組織のWebサイト等をご覧いただければと思います。
そしてその活動に共感できたら、無理の無い範囲で寄付を考えていただければ幸いです。

また、そういった活動については、
ふるさと納税→自治体→その自治体にある組織
といった形で、ふるさと納税が活用されている事もあります。

寄付の使い道を指定できる自治体さんも非常に多いですし、お礼の品だけではなく「自分の寄付がどう使われたか」というところにも、ご興味を持っていただけると、より良い世の中になるんじゃないかなぁと担当としては思っております。

最後に注意事項
悲しいかな、こういった災害の後に話題になるのは詐欺の話です。
義援金募集をかたるフィッシングサイトや、募金詐欺の話は枚挙に暇がないです。
また、有名な団体の名を騙り、寄付先の口座だけは詐欺集団の口座になっているといった手口も確認されています。
寄附先の口座等については、寄付の前に、その口座が本当にその組織のものなのか、一度ご確認をお願いいたします。
というか、ふるさと納税やった事ある人なら、ふるさと納税ポータルサイトからの寄付が一番安心だしラクなんでそっちをお勧めしときます。


ふるさと納税係 天野
posted by MMIスタッフ at 15:14| Comment(0) | ふるさと納税

2023年10月04日

2023年版、住宅ローン控除はふるさと納税にはあまり関係ないという説明

関連する記事
所得税率の変動により、ふるさと納税が2,000円の自己負担で済まないケース
住民税部分の問題で自己負担が2,000円で済まないパターンの話

どうも、ふるさと納税係です。
住宅ローン控除とふるさと納税の関係で、日々お問い合わせをいっぱいいただいております。
そして「あるサイトのシミュレーションだと住宅ローン控除を入力すると控除上限金額が下がる」というお話しをいただいております。

住宅ローン控除で控除上限金額が下がるのは誤った結果表示です。
「確定申告した場合控除上限金額は変動しないが、少ない寄附でも自己負担が2,000円では済まない現象が起きる」というのが正しいので、「自己負担2,000円で済む控除上限金額」というのは「確定申告した場合は無い」という事になります。
その点では我々の手がけているシミュレーションについても、一部誤りを出しています。

どういう計算をしているのか、また、どうして一部誤りを出しているのかを解説したいと思います。

仕組み等は別に知りたくない人向け結論

自己負担は2,000円では済まない方もいるけど、
やった方が基本的に得だから気にしなくていい


はい、これです。結構難しい話になるから、上の結論だけでも「ああそうなの」と思っていただければいいです。マジです。ここから先の話は「どうしてそうなるの?」という話を長ーくしているだけなので、結果だいたいお得になるんで住宅ローンの事は気にしなくていいんです。


1.住宅ローン控除がどういうものなのか知ろう

まず、住宅ローン控除がどういうものなのかを解説します。
住宅ローン控除の正規名称は「住宅借入金等特別控除」です。
「特別」控除なんですよ。偉そうでしょ? 実際スゴいんですよ住宅ローン控除。

まず、「控除(こうじょ)」というコトバなんですが、これは「差し引く」という意味です。

我々が頂戴しているお賃金、つまり給与ですが、残念ながら税金がかかります。
その税金を計算する仕組みの上に、「控除」があります。

juutaku1.jpg

ざっとこんな感じで、「給与収入」から、一定額を引く「給与所得控除」を計算して、その後に社会保険料控除だとか、生命保険料控除だとかを差し引いて、「課税総所得金額」の額に応じて、課税所得の部分部分に各税率を適用して、税額を計算しています。
尚、ふるさとチョイス様に掲載してあるシミュレーションについては、「給与所得控除」や「基礎控除」なんかは自動で計算するように作ってあります。

そして、税額が出た後に、ようやく登場するのが「住宅ローン控除」です。
実は住宅ローン控除さんは「計算した後の税金の額を直接差し引くもの」です。
社会保険料控除や生命保険料控除は「儲けからその分所得を引く」という「所得控除」であり、
住宅ローン控除は税額を直接引く「税額控除」なのです。
他の控除とは一線を画しているため「特別控除」という名前を冠しているワケですね。


そしてミラクルなのは「税額控除」だけではありません。
何と住宅ローン控除は「所得税が住宅ローン控除によって0円になっても、住宅ローン控除が残っている場合」は、特別な措置として「残った住宅ローン控除額を使ってある一定額まで住民税も引いてくれる」というすさまじい隠し性能を持っているのです。

juutaku202302_02.jpg

さて、とってもすごい力を持っている住宅ローン控除さんですが、
「かわりに住民税を引く」という隠し性能のせいで、ふるさと納税業界が割と説明に困る事態になっています。
住民税を引くクセに、ふるさと納税の控除上限金額の計算は除外となるのですが、地方税法を詳細に確認しないとそのあたりの誤りが出てきてしまうので、未だに「住宅ローン控除で住民税を引いている場合、ふるさと納税の控除上限金額が下がる」という計算結果を出す(弊社監修ではない)シミュレーションも存在します。
また、確定申告を行うと、本来ふるさと納税で所得税を引く金額分、住宅ローン控除で「何の税金も引けず無駄になってしまう部分」が多くなる結果が出るのに、ワンストップ特例利用だとそれが回避できたりと、何とも説明に困る存在です。

尚、弊社ではふるさと納税のご相談を受け付けておりますが、メールで住宅ローン控除の事を聞かれると、返答に物凄い文量を要するため、当ブログに誘導して、返答処理の時間短縮を図っております。
メールから来た人みてますー? いや、メールで説明するより、図とかあった方が絶対理解できるし、お客様にとってもメリットが多いと判断していますよ。マジで。


2.ふるさと納税に影響を与える条件を知ろう。

まず、第一に

ワンストップ特例をご利用いただいた場合は、
住宅ローン控除はふるさと納税に一切影響はありません。


これです。
ワンストップの時は住宅ローン控除は無視!
です。

そして、

確定申告をするからといって、
住宅ローン控除は必ずふるさと納税に影響を与えるわけではない。


これです。影響を与えるケースは一部に限られます。


まず、住宅ローン控除がどういう事になっている場合に影響を与えるのかというと、


1.源泉所得税額が残っている場合(ローン控除で所得税を引ききっていない場合)
→ふるさと納税には関係なし。

2.住宅ローン控除で所得税を引ききっているが、(ふるさと納税の所得税軽減分を足しても)住民税を限度まで引いていない場合
→ふるさと納税はできるが所得税分が住民税分に足されるので、問題なく自己負担2,000円で済みます。

3.住宅ローン控除で所得税を引ききっていて、なおかつ住民税を上限まで引いている場合
→確定申告をするとふるさと納税の所得税分の軽減額がすべて自腹になります。自己負担が2,000円以上かかります。


という振り分けになっています。


3.住宅ローンで税額を控除できる額の計算

この「住宅ローン控除で税額控除できる額」が人によって変わるのが難しいポイントですね。

まず、「住宅ローン控除の控除上限額」は

@居住開始した年
A住宅の種類
B年末借入残高

で決まります。
割とコロコロ住宅ローン控除のルールが変更されているのをご存じの方も多いとは思います。

例えば、令和2年に居住開始した人の控除額の上限は
【1〜10年目】年末借入残高×1% 最大40万円まで 認定住宅の場合50万円まで
【11〜13年目】@年末残高等〔上限4,000万円〕×1% A(住宅取得等対価の額−消費税額)〔上限4,000万円〕×2%÷3 のうち、いずれか少ない方 認定住宅の場合は@年末残高等〔上限5,000万円〕×1%A(住宅取得等対価の額−消費税額)〔上限5,000万円〕×2%÷3

そして、住民税をかわりに引いてくれる限度額は、

@13.65万円
A所得税の課税所得の7%
いずれか少ない方です。

では、最新の令和5年居住開始の場合を見てみましょう。
控除率 年末借入残高×0.7%
最大控除額は認定住宅等35万円、特定エネルギー消費向上住宅31.5万円、エネルギー消費向上住宅28万円、一般の新築住宅21万円
控除期間は13年
と、住宅性能によって控除額の上限が変動しています。

そして、住民税をかわりに引いてくれる限度額は、

@9.75万円
A所得税の課税所得の5%
いずれか少ない方です。


ふるさと納税では「どれだけ住宅ローンで住民税を引いているか」の判定が重要ですから、
年ごとの「住民税を引いてくれる限界値」をまとめてみると、

〜平成26年3月 9.75万円(←と課税所得×5%を比べて少ない方)
平成26年4月〜令和3年12月 13.65万円(←と課税所得×7%を比べて少ない方)
令和4年1月〜 9.75万円(←と課税所得×5%を比べて少ない方)


となります。

ただし、平成26年4月〜令和3年12月居住開始でも、個人間取引等で消費税がかからない場合は、
9.75万円と所得税の課税所得の5%を比べて少ない方が判定となります。

また、令和4年居住開始だけ、特別措置がありまして、
(1)新築(注文住宅)の場合
令和2年10月1日から令和3年9月30日までの期間
(2)分譲住宅、中古住宅の取得、増改築等の場合
令和2年12月1日から令和3年11月30日までの期間

この期間に契約をしている場合、控除率は1%(令和4年以降は通常0.7%)、
住民税から控除してくれる限界値は、
13.65万円(←と課税所得×7%を比べて少ない方)
になります。

例外が多すぎて本当に困る! が、激変緩和措置なので、この制度で助かっている方も大勢いらっしゃる事を考えると、あんまり悪いようにも言えない!

とまぁ、場合分けが色々あるんですが、住宅ローン控除がふるさと納税に影響があるかどうかの判定の第一歩として、上記の場合分けで、まず住民税をいくらまで住宅ローン控除で引けるか把握が必要です。


4.実際にふるさと納税のシミュレーションや、源泉徴収票で
「住宅ローンと住民税を引く額を見る」



まず、給与所得の源泉徴収票を見てみましょう。

gensenkotti.jpg

実は、「所得税が0円になっている」場合は、
「住宅借入金等特別控除額」
を見るのではなくて、
枠で書いてある「住宅借入金等特別控除可能額」が、
「全体で使える住宅ローン控除の額」です。

「住宅借入金等特別控除額」は、あくまでその年に所得税を引いた住宅ローン控除の額なんです。

シミュレーションにこっちの額を入れていただくと、
お客様にも分かりやすい判定ができるので、こっちを入れるのをお勧めいたします。

2023juutakuhantei1.jpg

上記図は普段お客様が入力しない部分
(Web版のシミュレーションの場合は「詳細を見る」ってボタンを押すと出てきます)
なのですが、

手順としてはまず、各種金額を入れる。
住宅ローン控除は「可能額」の方を入れる。

※初年度の方は、自身の住宅ローン控除の全体額を計算する必要があります。
年末借入残高と、居住開始年月と、場合によっては住宅の種別も必要です。
計算が分からない場合は、お借入している金融機関様に聞いてしまうのが一番楽かもです。

@の「住宅ローン控除後所得税額」が0円になってたら「所得税が0円」の状態です。
じゃあ「所得税を引ききった後の住宅ローンの残りはいくらだろう?」というのは
入力した「住宅ローン控除可能額」マイナス画像のAの金額
です。
この金額の大小で、ふるさと納税が自己負担2,000円で済むか済まないかが決まります。

先ほど説明した、

〜平成26年3月 9.75万円(←と課税所得×5%を比べて少ない方)
平成26年4月〜令和3年12月 13.65万円(←と課税所得×7%を比べて少ない方)
令和4年1月〜 9.75万円(←と課税所得×5%を比べて少ない方)


こちらの額よりも、余った金額が多い場合は、
「すでに住宅ローン控除の限界まで税を引いている」という事になるので、

3.住宅ローン控除で所得税を引ききっていて、なおかつ住民税を上限まで引いている場合
→確定申告をするとふるさと納税の所得税分の軽減額がすべて自腹になります。自己負担が2,000円以上かかります。


の結果となります。


例示をしてみましょう。

年収600万円、専業主婦、15歳以下の子供1名
社会保険料控除は120万円、住宅ローン控除可能額20万円で居住は平成29年4月開始

2023juutakuhantei1.jpg

この場合は実は上の表通りなんですが、

住宅ローン控除後の所得税額は0円
「上記に対する税額」の表示は132,500円

20万円−132,500=67,500円

住民税を引いてくれる限界値は
平成26年4月〜令和3年12月 13.65万円(←と課税所得×7%を比べて少ない方)

13.65万円>6.75万円なので、まだ、住民税をかわりに引いてくれる余地があります。

翻ってこの人のふるさと納税が自己負担2,000円で済む
控除上限金額は61,531円です。

キリ良く61,000円寄附した場合の、住宅ローン控除を無視した場合の税の控除額は

所得税:約6,000円
住民税:約53,000円

となるわけですが、所得税の計算のルール上、先にふるさと納税の控除を行うのですが、所得税の方は住宅ローン控除のせいで、最終的には0円になるワケです。
つまりこの6,000円は住宅ローンの特例に乗っかってくれて、
「住宅ローン控除でかわりに住民税を引いてくれる額」に加算されます。

20万円(住宅ローン本来の力)−132,500円(所得税を引く額)=67,500円(残った住宅ローン控除パワー)
67,500円+6,000円(本来ふるさと納税で引く所得税額)=73,500円


13.65万円>7.35万円なので、問題なく、住宅ローン控除は本来の力を全て発揮して、
遺憾なく税金を引いてくれるわけです。

つまりこの場合はふるさと納税を確定申告しても、
住宅ローン控除の隠されし力である「住民税をかわりに引く」に乗って、住民税から税を引いてくれるので、自己負担は2,000円で済みます。


ただ、書いたように「人によってかわりに住民税から引いてくれる額の上限」が違うんで、
シミュレーション上では「実際の税の控除額を計算」に寄附する額を打つと

税の軽減額
所得税:0円
住民税:53,000円

と出ちゃうんですよ。
これ、間違いですが、
シミュレーションで切り分けが出来ていないので、わざと悪い結果に寄せてます。

逆パターンの例示をしてみましょう。

年収500万円、専業主婦、15歳以下の子供1名
社会保険料控除は120万円、住宅ローン控除可能額20万円で居住は平成27年4月開始

この場合、シミュレーション上の

住宅ローン控除後の所得税額は0円
「上記に対する税額」の表示は75,000円

20万円−75,000=125,000円

と、一見「あれ、まだ住民税を引ける余裕があるじゃないか」と思いますが、
住民税を引いてくれる限度額の条件は、
平成26年4月〜令和3年12月 13.65万円(←と課税所得×7%を比べて少ない方)
となっているため、この場合の住民税を引いてくれる限度は課税所得×7%である
1,500,000×0.07=105,000円が限度なのです。

500juutaku.jpg

翻ってこの人のふるさと納税が自己負担2,000円で済む(実際には確定申告した場合は済まない)
控除上限金額は38,515円。

キリ良く38,000円寄附した場合の、住宅ローン控除を無視した場合の税の控除額は

所得税:約1,800円
住民税:約34,200円

となるわけですが、所得税の方は住宅ローン控除のせいで、最終的には0円になっています。
そして、住宅ローン控除は住民税側の限界値を使い切っているので、
この「本来ふるさと納税で引くべき」1,800円分の税額の控除は
住宅ローンの特例に乗っかれないため、
「住宅ローン控除を無駄にしてしまう金額」に加算されます。

20万円(住宅ローン本来の力)−75,000円(所得税を引く額)=125,000円(残った住宅ローン控除パワー)
125,000円+1,800円(本来ふるさと納税で引く所得税額)=126,800円(所得税を引いた後最終的に使っていない住宅ローン控除の額)



105,000円<126,800円なので、住宅ローン控除は本来の力を全て発揮できず、
ふるさと納税の所得税に対する軽減も、住宅ローン控除の余力に加えられる事になるのですが、
そもそも住民税を引く限度に達しているため、使えない、
つまり、ふるさと納税の所得税分が無駄になる=自己負担になると言いかえれるわけです。

尚、ふるさと納税は確定申告した場合、
「所得税を引く」
「住民税を引く」
という2つの効果がありますが、ふるさと納税には
「所得税を引けなかったら住民税をかわりに引く」というルールは存在しません。

この所得税から住民税の税額控除の移動は、住宅ローンでしか発揮されない訳です。

この場合はシミュレーションが出す結果
税の軽減額

所得税:0円
住民税:34,200円

は、正しい答えとなります。



さて、ここまで説明が無茶苦茶長かったですね。
そして分かり辛いと思います。書いている自分でもちゃんと説明できているのか分かりません。
住宅ローン控除の制度に合わせて関連記事書くのもう3回目なのに、未だに分かりやすく書く方法がわかりません。

なので思い出していただきたいのです。このブログで最初に何て言ったのか。


仕組み等は別に知りたくない人向け結論

自己負担は2,000円では済まない方はいるけど、
やった方が基本的に得だから気にしなくていい


どうしてこう言えるのかの説明をこれからしますね。


5.では、所得税が引かれない人はふるさと納税「しない」方が良いか?

ただ、自己負担が2,000円で済まないからと言って、ふるさと納税をしない方が良いのかと言うと、一概にそういう訳では無いです。

上の例示の「寄附を38,000円行った場合」で、「住宅ローン控除によって所得税部分の控除が受けられない」状態であった場合でも、

38,000円の寄附で、お礼の品の価値が寄附額の3割だった場合
貰えるお礼の品の価値=38000*0.3=11,400円
住宅ローン控除の問題によって自己負担になる金額=38000-34200(住民税分の軽減)=3,800円

11,400円>3,800円なので、この状態でも自己負担よりお礼の品の価値の方が高いのですから、住宅ローン控除によって自己負担が2,000円で済まなくても、ふるさと納税した方が「やり得」になるんです。

なので、一番最初に出した結論、

自己負担は2,000円では済まないけど、
やった方が基本的に得だから気にしなくていい


になる訳です。


【控除上限額計算式から見る「住宅ローン控除が控除上限金額に影響を与えない」理由】

ふるさと納税の控除上限金額の計算は、

個人住民税所得割額×20%÷(90%−所得税率×1.021)+2千円

となります。
ただし、
「個人住民税所得割額」は調整控除後の金額を用い、
「所得税率」は正確には
「生命保険料控除等の特定の控除は住民税側の額を利用して計算した課税所得」で
出された所得税率となります。

この「但し書き」が、「住宅ローン控除が控除上限金額に影響しない理由」です。


法令を参照すると
地方税法 第37条の2 及び 第314条の7 寄附金税額控除
道府県は、所得割の納税義務者が、前年中に次に掲げる寄附金を支出し、当該寄附金の額の合計額(当該合計額が前年の総所得金額、退職所得金額及び山林所得金額の合計額の百分の三十に相当する金額を超える場合には、当該百分の三十に相当する金額)が二千円を超える場合には、その超える金額の百分の四(当該納税義務者が指定都市の区域内に住所を有する場合には、百分の二)に相当する金額(当該納税義務者が前年中に特例控除対象寄附金を支出し、当該特例控除対象寄附金の額の合計額が二千円を超える場合には、当該百分の四(当該納税義務者が指定都市の区域内に住所を有する場合には、百分の二)に相当する金額に特例控除額を加算した金額。以下この項において「控除額」という。)を当該納税義務者の第三十五条及び前条の規定を適用した場合の所得割の額から控除するものとする。この場合において、当該控除額が当該所得割の額を超えるときは、当該控除額は、当該所得割の額に相当する金額とする。
(記載は第37条の2。第314条の7は「市町村」の内容)



こうなっています。

で、35条は「所得割の税率」についての法で、
前条っていうのは37条「調整控除」の事です。

つまり、住民税の寄附金税額控除の特例分の「住民税所得割額の2割を上限とする」のは
「調整控除後で、かつその他の税額控除については加味しないもので計算した住民税所得割額の2割」というのが正確なところです。この計算に用いる所得割額には「住宅ローン控除の住民税を引く分」を加味しないよ、と法令によって定めているのです。

なのでネット上に存在する
(生存確認を行っていないので「存在していた」になっているかも)
「住宅ローン控除が住民税にかかっている場合、計算に用いる所得割額が減るのでふるさと納税の控除上限金額が下がる」
という解説は誤りです。
確かに(確定申告した場合、所得税分が控除できないために)自己負担が2,000円で済む控除上限金額は下がります。
ただそれを正しく表現するならば
「自己負担が2,000円で済む控除上限金額は2,000円です」
と表示しなければならないし、それじゃあ
「ああ、ふるさと納税はしない方が良いな」
となってしまうため、弊社のシミュレーションでは
「(所得税の控除を受けられないけど、全体で見ればお得にはなるから)控除上限金額は住宅ローンでは変動しません」という表現を使っている訳です。


ふるさと納税係 天野
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2023年06月29日

給与所得等に係る 特別徴収税額の決定 ふるさと納税の確認によるレアケース判定

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住民税部分の問題で自己負担が2,000円で済まないパターンの話
2023年版、住宅ローン控除はふるさと納税にはあまり関係ないという説明

どうも、ふるさと納税係です。
6月末になると「住民税のお知らせが来たけどふるさと納税でちゃんと引かれているかわからない!」というご質問を沢山頂戴します。
やるのは簡単なんですが、確認がちょっと難しいんですよね税の軽減って。

そういった税の確認がらみのお話は、弊社ブログにて以前に割と解説しています。
特別徴収税額通知書 ふるさと納税の確認方法等、答え合わせにお困りの方用記事
また、住民税の決定通知書の見方もブログで解説しています。
住民税決定通知書でふるさと納税の税が引かれているかを確認する方法

作っている自分が言うのも何ですが、結構有用で割と分かりやすく説明できていると思うんだけど、おそらく「どんなワードで検索すれば良いのかわからない」人が多いと思うんですよね。
とりあえずブログについてはアタマの方にもこの入口を作ると共に、検索エンジン君になんとか頑張ってもらって、このスタッフブログにたどり着ける方を増やしたいなあという所存です。


という事で住民税の解説はだいたい前年までにやっているので、ちょっとマニアックな「自己負担が2,000円で済まなかった例」について解説したいと思います。
はっきり言って余談的な例なので、あんまり参考にはなりません。
ふるさと納税で減った税額の判定等は
住民税決定通知書でふるさと納税の税が引かれているかを確認する方法
特別徴収税額通知書 ふるさと納税の確認方法等、答え合わせにお困りの方用記事
この2つの記事をまずはご参照くださいませ。

1.所得金額調整控除を年末調整時点では行っていたのに確定申告で外してしまったケース
レアパターン1。住民税の金額は合っていたんですけど、所得税の還付額が合わない、と言う事でお問い合わせいただきました。確定申告書ベースの寄附金控除適用前の源泉徴収税額を見てみると、源泉徴収票と合致せず、各種金額を照合した結果、扶養していない(配偶者が扶養控除を利用している)お子様の、所得金額調整控除が確定申告時に外れていました。
結果として「給与所得」の金額が高い状態で所得税を計算するので、想定されるふるさと納税で引かれる所得税の金額よりも低い還付金額である、という結果に。ふるさと納税のせい、という訳では無く、むしろ「ふるさと納税のおかげで確定申告時のミスに気がつけた事例」ですね。
ちなみに国税庁の「確定申告作成コーナー」とかだと、調整控除の入力ミスについては「多分入力ミスしてますがいいんですか?大丈夫ですか?」と画面に出るような仕組みになっています。ただその警告がもっと大きければいいのにな、というフォントサイズだったので、国税庁の中の人がもしこれを見ていたら警告のフォントサイズや色について勘案してみてください。
また、スマホ申告なら源泉徴収票をカメラで撮れば自動入力してくれます。便利な世の中になりました。

尚、こういった確定申告のミスが分かった場合については「更正の請求」という手続きで5年以内であれば直す事ができますので、手続きをする事をお勧めいたします。

2.業者に確定申告をお願いしてたら間違えて申告されてた例
給与のみで確定申告はしていない。ワンストップ特例を利用していたのに住民税の軽減額が少ないというお問い合わせでしたが、よくよく話を伺ってみると、売電収入があるとの事。
売電収入=事業or雑所得ですから、確定申告が必須です。で、その売電収入については業者に資料送付すると確定申告をしてくれるというもの。ただ手元にすぐ出ないとの事。
寄附額全体で確定申告をした場合でも、減るべき住民税額が想定より少ないので、うーんおそらく資料の送付ミスか申告時のミスで少なく申告されているのではないですかね、という回答を行いました。
後日やはり寄附金控除額の申告が少なかったとお客様よりお申し出がありました。

これも「ふるさと納税で申告のミスが分かった」ケースですかね。
業者(税理士)に任せた場合でも、何かの拍子にミスをする事はあります。
例えば弊社では、審理室という部署を設け、有資格者がチェックをした申告書でないと、基本税務署に提出しない、というルールを設けておりますが、それでもごく稀にはミスが出てしまう事があります。
最終的にお客様サイドで、住民税額とかチェックしていただけると、こういったミスも発覚して、更正の請求によりお客様側の損失を無くせるので、実はこういうチェックをする気概って我々にとっても凄く助かるよね、とも思ったわけです。

こうしてわたしくしは世のどこかの税理士さんのカバーをしたのです。
善行を積んだので該当する先生は弊社サービスの1つである
dailyコラムの購読(月11,000円税込)をお願いいたします。

3.計算的には合ってたんだけど認識が間違っていた例
寄附額に対して住民税が少ない、というご質問。住民税決定通知書と、確定申告書第1表の寄附金控除の額を見ると、確かに寄附額に対して住民税の減りが少ないな、と確認。ただし税法上の2,000円で済まない現象が起きるゾーンでもない事を確認。
確定申告書第2表を見てみると、ふるさと納税じゃない、都道府県の認定控除が受けられる寄附が一部入っているような記載になっていたため、お客様に確認したところ、ふるさと納税ではない寄附を一部していた事が確認できました。
ふるさと納税は「ふるさと納税だけに許されている住民税を沢山引いてくれる控除」が内包されている結果、上限金額以内の寄附ならば、自己負担が2,000円で済むような仕組みになっています。
つまり逆に言うと「ふるさと納税じゃない寄附は自己負担2,000円では済まない作りになっています」という事です。
ふるさと納税でない寄附も、都道府県、もしくは市区町村の条例によって認められている場合、ちょっとだけ住民税を減らしてくれます。でもちょっとだけです。

4.激レアの「住民税側の減税の計算の問題で2,000円で済まない」パターン
住民税部分の問題で自己負担が2,000円で済まないパターンの話
今年は現時点で1名様がこのパターンに該当していました。全相談でも年に1人いるかいないかくらいのやつです。主に生命保険料控除のせいで起こるこの問題、説明するもの大変なので割りと嫌いです。
ただ、実際に起きている事なので、ふるさと納税係としてはちゃんと判定できるようにしております。


軽減額のご相談に関する所感
という事で、割と弊社ではふるさと納税の税が減ったかな?よくわからん!という方に寄り添って、状況把握と解説を行っておりますが、良く聞くのが「税務署は●●だって言ってた」とか「役所は●●だって言ってた」という事。
割とセカンドオピニオン的な感じで弊社の相談窓口をご利用いただいているなぁと。とても良い事だと思います。
その中でも税務署についてはふるさと納税全体から言うと、正しくない事を言う可能性が高いです。
なぜなら、税務署は国税管轄なので、ふるさと納税の主軸である地方税についての説明はしないからです。
比較的影響が大きい役所の方は、解説等もしっかりしていらして、わたしが説明しなくてもお客様の方ですでに十全にご理解いただいているケースが多いです。どっちかってーとその場合シミュレーションの仕様とかを尋ねられる事が多いですね。
という事で、ふるさと納税の事を公的機関に聞きたい場合は、役所に連絡するのをお勧めいたします。

レアケースばっかりご紹介いたしました。
季節恒例なので気にかけてみてね、という記事ですね。
しかし蒸し暑くて、夏を予感させる今日この頃ですね。熱中症に気をつけてください。

ふるさと納税係 天野
posted by MMIスタッフ at 16:36| Comment(0) | ふるさと納税