所得税率の変動により、ふるさと納税が2,000円の自己負担で済まないケース
住民税部分の問題で自己負担が2,000円で済まないパターンの話
2023年版、住宅ローン控除はふるさと納税にはあまり関係ないという説明
どうも、ふるさと納税係です。
日々お客様のご質問に答えている内容で、有用なものをブログに記載していたりするんですが、今まで「絶対書いた方がいい」と思っていても「なかなか書けないなぁ」という、禁断の内容があったんですよ。
それは、
「色々とポータルサイト等の控除上限金額計算シミュレーションがあるけど、出てくる答えが違う問題」
いや、下手したらウチも火だるまですからこの話題。
ただ、今書こうと思い立った理由もございまして、わたくしどもから見れば、各サイト様色々な理由があり、色々な着目点があって、各社入力形式が違うのが良く分かります。
ただ、お客様の視点に立って考えてみると、確かに各サイトで計算したら不安しか残らないよなぁという考えと、令和2年から所得税法が一部改正されたため、今年は各社シミュレーションに変更を加えるであろう事。
この辺が理由でございます。
いち企業のスタッフブログですが、割と真面目にふるさと納税に取り組んできた自信はあります。
そんなわたしのレビューを見ていただいて、少しでもシミュレーション制作の各担当者様の糧に、ふるさと納税を考えているお客様の一助になったらうれしいなぁと思っております。
【各サイトの紹介の前にお断り】
2020.6.16時点の各サイト様の計算シミュレーションを見て記事を書いています。
各サイト様の修正等により、この記事の内容通りのシミュレーションでは無くなる場合があります。
また、このレビューはふるさと納税担当の主観によるものが大きい事をご承知くださいませ。
リンク先の内容(監修先サイト様を除く)につきましては、税理士法人エムエムアイでは一切ご質問に答える事ができません。予めご了承ください。
それではいってみましょう。
ふるさとチョイス様
https://www.furusato-tax.jp/about/simulation
言わずと知れた大手サイト。弊社がシミュレーションを監修しているうえに、今時珍しい電話相談が可能。出るのはだいたいわたし。
以前は給与収入のみのシミュレーションだったが、去年末から株式譲渡益も計算できるようになりました。
生命保険料控除を一括入力するため、確定申告書第1表のみ、住民税の決定通知書からでも入力可能だが、所得税と住民税の所得控除差を「ものすごくファジーに判定」しているため、実際の控除上限金額とのズレが生じる。
ただ、この措置は「多くの人が入力できるために」行っているものです。
(ただし物凄い低確率で、住民税の特例控除割合の判定でズレが起きて、それが原因で上限金額の差異が結構大きめに出ちゃうことはあります)
また、ふるさと納税は大前提に
今年の控除上限金額は今年1〜12月の所得や控除で決まる
っていうのがあるので、いかに今正しい金額を出そうとも、
「今年の所得や控除が確定しない」限りは、それは正しい額では無いのです。
この前提があるのも、入力しやすさをある程度優先する弊社の取っている方針の根拠であります。
また、「実際の税の軽減額を計算」という、寄附額を入力する欄を設けていて、
所得税率の変更による自己負担の増加や、住宅ローンでの自己負担の増加(中途半端な警戒を促す)に、若干対応できています。
ただ、株式譲渡益を入れる事により、所得税率の変更に対応するために表示に力を入れた結果、
以前と比べると分かりずらい印象を与えてしまっているかもしれません。
今年度の税制改正対応バージョンは秋口までにはリリースできればと思っていますので、
引き続きのご愛顧をお願い申し上げます。
かいけいセブン様
https://kaikei7.com/furusato_nouzei_keisan/
ふるさと納税のポータルサイトでは無いですが、この企画をやるからには絶対に紹介しなければならないサイト様です。
わたくしふるさと納税担当が知りうる中で一番詳しいサイト様ですよ。
付帯して知りたい税金の額とか手取り計算とか学校授業料支援金の可否とか、様々な税金絡みの事がまとめて知れる。
入力の流れ等にも相当気を使われていて、「落ち着いて」、「説明をしっかり読んでから」入力すれば、あっさり上限金額が出ます。
あと、何がすごいかって、例えば「社会保険料控除の額とかわかんなーい」って場合に、「住民税の課税地に合わせて協会けんぽの料率で自動計算しますわ。あ、国保ならこっち押してね」ってしてくれたり、物凄い優しい機能もりだくさんです。
住民税の非課税等級、であってるかな?こちらも住んでる自治体名でちゃんと判定してますし、ホント作りこみがヤバいです。
あと、自己負担2,000円で済まない問題とか、分離課税とかも当然対応。
コラム等でも法的根拠などを明らかにしてくれていて、わたくしも何度も参照しています。
ありがとうございますほんと。
ただし、多目的かつ細かい入力や表示のため、どうしてもPCの操作に慣れていない人が見ると、とっつきにくい印象をもってしまうかもしれません。
あと、かいけいセブン様は各種税周りのツールが使えるサイト様で、相続税とかコロナの現金給付とか、ふるさと納税以外にも色々な便利ツールを作成していらっしゃるので、ホントお勧めですよ。
ふるなび様
https://furunavi.jp/deduction.aspx
ふるさと納税シミュレーションの頭痛のタネである「生命保険料控除の額差をどうするか」という問いに、
「生命保険料控除の欄はいらない」という回答を出した潔いサイト様です。
簡易計算と詳細計算の切り替えがシームレスで、「シンプルに、目安となる額を出すんだ」という意思を感じるUIです。
正確性には若干劣るものの、給与収入のみの方であれば、このくらいの入力でも十分目安の金額は把握可能です。
さとふる様
https://www.satofull.jp/static/calculation01.php
「生命保険料控除」問題を別角度から解決するシミュレーション。
所得控除の合計額を入力する都合上、どうしても住民税所得割額が実際の数値とズレる。
だがそれを「お客様直接入力で直してね」としているので、修正すればきっちり額面を提示してくれる。
(住民税所得割額を決定通知書で見なければいけないのが問題といえば問題)
上限金額の提示は1,000円刻み。
ここで注意しなければならないのが、住民税所得割額は「(調整控除後の)税額控除前所得割額」を入力しなければならない点。ふるさと納税し終わった後のすっかすかの所得割額を入れてしまうと、控除上限金額は実際のものより極端に低くなるので注意。
ふるさと納税ガイド様
https://furu-sato.com/simulation
すっきりしたインターフェイスに好感が持てるサイト。
簡易シミュレーションに自営業の方用と年金の方用があるのは珍しいですね。
詳細シミュレーションは給与収入のみの方用。
わずかに弊社作成のシミュレーションと額面にズレが出る。
生命保険料判定かなと思って、生保0円にしてもちょっとだけズレました。
何が違うのか、根拠数字が出てこないのでよくわからないですが、実際の上限との差異はほんのわずかなので気にする必要は無いです。
2021.7.21追記:弊社にご相談いただいた方で上記サイト様の「住宅ローン控除」の項目を入れると上限が下がるとのお話をいただきました。確認したところ、たしかに下がります。また解説動画も拝見したところ、おそらく間違った解説をされている可能性が高いです。
住宅ローン控除についてはこのブログで過去に解説しています。
http://mmi-kaikei.sblo.jp/article/184708397.html
aupayふるさと納税様
https://furusato.wowma.jp/guide/simulator_details.php
生命保険料控除の住民税減衰を計算シミュレーションに入れてないっぽい。
また、千円以下切り捨て表示っぽいので実際の上限よりちょっとだけ少なめに出ます。
「目安金額の提示で、数百円単位ではあまり寄附しない」という
ふるさと納税の特性を考えると、「こういうシミュレーションでいいんだよ」とうなずける作り。
ただ、わたしの環境では先行入力されてる0円を消さないと正しい入力ができなかったです。
ふるさとぷらす様
https://furusatoplus.com/info/003/
ほんの少しだけ大きい額が出る(生命保険料の減衰ではなかった)。
計算内容が見れないので原因不明だが、わずかな差なので気にしなくて良いですよ。
ふるさとぷらす様の大きな特徴は、住宅ローン控除があって、確定申告する場合のふるさと納税が実質自己負担2,000円でなくなってしまう場合が判定できるシミュレーションがある事。
しっかり作りこまれています。わたくしどもも見習いたいです。
あと、寄附の仕組みや税の仕組みや注意点等、1ページでしっかり作られているので、
このページを理解するだけで、相当ふるさと納税の事に詳しくなれるはず。
楽天ふるさと納税様
https://event.rakuten.co.jp/furusato/mypage/deduction-details/
うちの相談電話に「別の会社シミュレーションで全然違う額が出てくる」とかかってくるのは、だいたい楽天様との対比です。
いや、楽天様に悪い部分もある(だいたい悪くない)。
ただ、分離課税や給与以外の総合課税を考慮したチャレンジングなシミュレーションで、非常に使い勝手が良い事は特筆しておきたい部分です。
相談電話にかかってくる方で一番多い間違いが、控除のダブル入力。
楽天様のシミュレーションには、
「年末調整済の場合は以下の控除の額面は0円としてください」って書いてあるんですが、
上で「所得控除の合計額」を入れたら、下の各種控除の金額は入れないでね
っていう意味です。
(丁寧に書くと所得控除の合計額に加算されてない控除だけ入れてね、という意味)
UI的に問題がありそうなので、システム的に注意が出てくるとか、そういった対策をしていただけると、我々の相談ダイヤルもちょっとラクになるのでご検討いただけると幸いです。
あ、でもこの下の各種控除のみで済ませると、
おそらく基礎控除分38万円が考慮されずに実際より大きい上限が出ちゃうようになってませんかねこれ。
基本情報は給与収入部分の入力で「必ず入力してください」となっていますが、事業所得のみの方とかでも計算できるように、実は必須入力ではないので、基礎控除飛ばしてしまう人もいるのではないでしょうか。
ちょっと現状だと使うのに注意が必要なサイト様かもしれませんが、計算項目が多めなので、給与収入以外の収入のある方には使い勝手は良いですね。
総務省ふるさと納税ページ
https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_zeisei/czaisei/czaisei_seido/furusato/mechanism/deduction.html
ふるさと納税の大本営たる総務省のページ。
詳細なシミュレーションなし。表記も社保が甘めに取ってあるのでほんのちょっとだけ高く出ている。
エクセルシートも用意されているが、「どのくらい寄附したら自己負担はいくらなのか」という上限金額のシミュレーションではない。
これでも良くなっておりまして、以前は社会保険料控除を加味しない表になってたんですよ。
公的な機関のサイトなので、もうちょっとシミュレーション的なものを出してくれてもいいんじゃないかなぁと思いました。
わが街ふるさと納税様
http://www.citydo.com/furusato/what/07.html
いわゆる「さとふる型」のシミュレーション。
所得税側の控除参照で住民税の所得割額を作るので当然少な目に出る。
住民税所得割額を入力して修正しましょう。
ふるさと本舗様
https://furusatohonpo.jp/donate/sim/detail/
生命保険料控除問題を所得税住民税差をしっかり計算するため、各保険料の金額を入れるようにしているのが大変良いけど、新旧生命保険料を加味せず、控除額は新に統一しているみたいです。そのため、せっかくの生命保険料控除問題の解決のためのフォームがもったいない事になっています。
あと、「その他収入」って総合課税が入れられるようになってますが、
これ「所得金額」を入れるべき場所です。
「不動産収入」とか「事業収入」とか入れてしまうと大事故になる予感しかしないので、担当の方は修正した方がいいと思います。
分離課税計算や住宅ローン控除の判定等、かゆいところに手が届きそうな作りなので、
ちょっと手間をかけて新旧別入力ができるとか、「その他収入」の記述を「その他所得」にするとか、
もうちょっとだけ直していただけるとすごい便利なシミュレーションになると思います。
ふるさと納税ニッポン様
https://furusato-nippon.com/about/simulation
「青色申告」「白色申告」とチェックボックスがあるのですが、確定申告書第1表で「総所得金額」を調べると青色申告特別控除は引いた後の額が出るので、このチェックは「白色」を選択しなければいけないです。
お客様が「参照しやすい書類を見て入れる」という行動原理に基づいて考えると、このチェックボックスは正直罠になってしまっています。
算出される金額は実際の額より少なめで、目安金額の提示としては悪くない感じです。
詳細シミュレーションは「総所得」を入れていただく形になっているので、各種総合課税の所得金額に対応していて、入力もしやすいのが魅力ですね。
ふるさと納税応援サイト様
未だに検索に、法改正前の「特例控除上限が所得割額の10%」であった時のシミュレーションが出てきました。これは使ってはダメです。更新情報を見ると、サイト様の更新は2008年で止まっているっっぽい。
運営している公益財団法人様のリンクが変わっているのに、サイトには旧URLが出ている等、なにがしかの理由で更新できていらっしゃらない様子です。ご対応いただきたいなぁ……。
【おわりにわたくしの感想等】
と、ざっと検索エンジンで「ふるさと納税 シミュレーション」と検索して出てくるサイト様のシミュレーションを実際に使ってみて感想を述べてみました。
「ふるさと納税のご相談を受ける側の感想」ですので、またお客様とは違った意見になっていると思います。
ただ、ある程度「このサイトはここが良い、ここには注意した方がいい」というのを、根拠に基づいて言えてはいるんじゃないかと思いますので、もし、これを見たサイト様がいらっしゃましても「ああ、そういう意見もあるのだね」とニュートラルに捉えていただき、より一層、お客様に分かりやすい、使いやすいシミュレーションの一助となれたら嬉しいなあと思っております。
また、ふるさと納税をご検討中のお客様におかれましては、わたくしの解説で、サイト運営をしていらっしゃる方々が「どうやったらお客様に一番いいんだろうか」という最適解を色々な方法で試みている事をご理解いただけるとすごくうれしいです。
正確性を取るか、わかりやすさを取るか、またどのくらいの精度を取るか、利便性を取るか。色々な方向性で、シミュレーションは作られています。その中で、出てくる金額がちょっとだけずれたとしても、それは各社ごとお客様のためを想った結果であり、
「今年の上限は今年の所得や控除で決まる」
という計算シミュレーションのおいてあるちゃぶ台がひっくり変える大前提の元の、マージンを見た設計であるのです。そういった事情を加味していただきまして、ご利用いただけるとわたくしとしては非常に助かります。
また、「修正したから紹介してください!」とか「取り上げられていないので書いてほしい!」とか「弊社サイトにリンクしないでほしい」といったご依頼がありましたら、お気軽にお申しつけいただければと思います。
ふるさと納税係 天野
割と中の人たちも一生懸命やっておりますので、引き続きふるさと納税をご愛顧いただければ幸いです。
よろしくお願いいたします。
ご参考になれば幸いです。またふるさと納税に対してご不明点ございましたら、メールや電話でも無料にてご相談を受け付けておりますので、お気軽にお声がけください。
でも年末は凄く混むので早めにお声がけいただく事をお勧めします!
だいたいお手元にある源泉徴収票などは去年のものなんで、「今年の上限は今年の所得や控除で決まる」だけは、何としてでも覚えておいていただけると幸いでございます。
↑の質問をさとふるのサポートセンターへしたところ、「所得割額」を入力してくださいと返答がありました。
天野さんの説明と異なる回答でしたので、どうしたものかさらに頭をかかえております。
尚、他社様のシミュレーションについては、弊社では監修をしていないため、正誤についての判定はできかねますのでご了承いただければと思います。
「所得割額を入れるって事は去年のふるさと納税の金額も引いた後の額を入れるって事ですよね?」と確認すると良いかもしれませんね。
↑ということは、入力する金額は通知書の「税額控除前所得割額」とも「所得割額」とも違うということでしょうか?
ブログの内容はあくまで主観的な内容であり、その正確性は保証いたしませんし(何しろ2年前の記事ですからね)、コメントでもお答えする事ができない事をご了承くださいませ。
そろそろふるさと納税のご相談件数も増えてきて、忙しくなってきました!
もし疑問点等がある場合は、メールやお電話でお答えしておりますので、よろしくお願いいたします。