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どうも、そろそろ忙しくなってきた、ふるさと納税係でございます。
ふるさと納税は今年の1月〜12月の所得や控除によって上限が決まるわけですが、
結構ややこしいのが「配当所得」なんですよね。
配当所得の基本ルール
上場株式は総合課税・分離課税・申告無し
の選べる3タイプ
非上場株式は総合課税で申告しなくちゃダメ
という事で、総合課税での申告をしていると、ふるさと納税の計算もすんなりいきます。
また、分離課税だったらかかる住民税の2割くらいはふるさと納税できると思ってOK(詳しく計算するともうちょっと上が出ます)。
申告無しの場合は、そのままだとふるさと納税に使えないから使いたかったら申告してね。
と、基本ルールはこんなところなんですが、
平成29年から、所得税の申告と、住民税の申告で、
申告方法を別々する事ができるようになったんですよ。
例えば、所得税の申告は総合課税分の税率が低い人(課税総所得695万円以下)であれば、
配当控除、という税額控除もある関係で、総合課税で申告するのがお得な人でも、
住民税の申告は総合課税分10%の課税、配当控除は最大で2.8%という事ですから、
7.2%取られちゃうんですよね。
それに対して分離課税で申告するか、申告不要を選択すれば、住民税は5%の源泉徴収分だけで済むわけです。
んで、分離課税申告だと、国民健康保険だとか、後期高齢者医療制度の費用の算定に引っかかります。
住民税側を申告不要選択しておくと、算定に引っかからないのでお得になる人がいます。
ただ、株式譲渡損との損益通算をするためには、分離課税申告しましょう。
といったように、所得税と住民税で申告方式が別々に選べるようになったんです。
ふるさと納税はどうなるの?
ふるさと納税は「住民税の所得割額の大小」によって2,000円の負担で済む控除上限金額が決まるので、住民税を申告不要にすると、その枠は無くなりますし、分離課税申告だと少ない額になります。
ただ、税金の大小を鑑みればもちろん、分離課税か申告不要等にした方がいいですし、
健康保険料を鑑みれば当然配当所得は申告不要を選ばないと高くつくケースだってあります。
基本的には「ふるさと納税が2,000円で済む控除上限額のためだけに配当を総合課税で申告する」というのはマズい話になります。
大まかな計算ですが、総合課税と申告不要or分離課税の住民税率ギャップが5%(配当控除は税額控除なので含めて計算しない)、その中の2割しか枠が増えないわけです。1%の利用枠の中で、お礼の品の価値がその中の3割ですから、軽減効率は0.3%程度になる訳ですよ。分離や申告不要でやれば、総合課税に比べて2.2%は税額が減るわけですから、これは損ですよね。
結論としては、
ふるさと納税の事で配当の申告方法は考えないで、
他の理由をもって申告方法を考えた方が良いです。
まぁ、分離課税の損益通算するならともかく、そういうのが無ければ申告不要選ぶよねってオハナシです。
参考リンク
府中市
https://www.city.fuchu.tokyo.jp/smph/kurashi/zekin/shiminze/juuminzei-sentakukazei.html
https://www.city.fuchu.tokyo.jp/smph/kurashi/hoken/kokuminkenko/hokenze/jyoujoyukabushikitou.html
https://www.city.fuchu.tokyo.jp/smph/kenko/kokikore/hokenryo/koukikoureisyairyouhenoeikyou.html
大和総研レポート・コラム 2017.1.25付
https://www.dir.co.jp/report/research/law-research/tax/20170125_011633.pdf
税理士法人エム・エム・アイ ふるさと納税係
2019年11月21日
ふるさと納税の計算「配当」の扱い方
posted by MMIスタッフ at 15:55| Comment(5)
| ふるさと納税
〉大まかな計算ですが、総合課税と申告不要or分離課税の住民税率ギャップが5%(配当控除は税額控除なので含めて計算しない)、その中の2割しか枠が増えないわけです。1%の利用枠の中で、お礼の品の価値がその中の3割ですから、軽減効率は0.3%程度になる訳ですよ。分離や申告不要でやれば、総合課税に比べて2.2%は税額が減るわけですから
の部分です。
ふるさと納税限度額の基礎となるモノは「住民税所得割額」であって、税率のギャップ(上記では5%)ではないのではないでしょうか?
よって、「住民税所得割額」は住民税の税率によって増減するものでしょうから
ふるさと納税の上限額の増加額=10%(=住民税の税率)×2割(=実際には所得税の税率によって3割とかにもなるのですよね?)
なので
ふるさと納税をした場合のお得額:10%×2割(=ふるさと納税による限度額上昇分) + 10%×2割×30%(=返礼品相当)
=2.6%
ですが、住民税の配当控除が2.8%あるので
2.6+2.8=5.4%がトータルお得になるような気がします。
よって、配当所得を住民税で申告すると
10%住民税が増えるが、5.4%お得になるはずなので
10%-5.4%=4.6% < 5%(=住民税を申告不要とした税額)
になるのではないでしょうか?
間違いがあったら教えて下さい!
ふるさと納税をいくら行うかを検討したいので!
所得税の税率は、所得税の課税所得額に応じて段階的に分かれているため、(4)の計算式は所得税の課税所得額の階層ごとに次の表の計算式に置き換えることができます。
所得税の課税所得額 所得税の税率 上限額を求める計算式
〜195万円未満 5% X =個人住民税所得割額×23.558%+ 2千円
195万円以上〜330万円未満 10% X =個人住民税所得割額×25.065%+ 2千円
330万円以上〜695万円未満 20% X =個人住民税所得割額×28.743%+ 2千円
695万円以上〜900万円未満
23% X =個人住民税所得割額×30.067%+ 2千円
900万円以上〜1800万円未満
33% X =個人住民税所得割額×35.519%+ 2千円
1800万円以上〜4000万円未満
40% X =個人住民税所得割額×40.683%+ 2千円
4000万円以上〜
45% X =個人住民税所得割額×45.397%+ 2千円
総合課税の場合(申告分離課税と併せて課税される場合も同様)
※ 所得税の課税所得額は、総所得金額から所得控除額(社会保険料控除や扶養控除などの合計額)を
差し引いた金額(千円未満の端数は切捨て)をいいます。
申し訳ございませんが、計算の流れを確認したしましたが、仰っている事が良く分かりませんでした。
例えば配当所得が200万円あったとすると、
分離申告→10万円
総合申告→20万円
が住民税の額になりますよね?
その2割がふるさと納税の控除上限金額の増加値(簡易的な計算。住民税の申告方法についてはどちらを選んでも課税所得金額に変動がないため、所得税率はどちらも同じで計算する事になるので、計算を簡易的にするための処置です)とすると、
分離申告→2万円
総合申告→4万円
が増加する上限の差です。
これによるお礼の差の差額はお礼の品の価値を寄附額の3割とすると、
分離申告→6千円
総合申告→12千円
(配当控除を考慮しない)納税額からお礼の品の価値を引いたお得感を考慮した税額的なもの(?)は
分離申告→9.4万円
総合申告→18.8万円
200万円の配当所得の住民税の配当控除=5.6万円
18.8万円-5.6万円=13.2万円
よって配当控除を考慮しても実効的な税負担は、
分離申告→9.4万円
総合申告→13.2万円
となるため、分離課税で申告した方が有利となると思いますが、何かわたくしの方で思い違いをしている点がございますでしょうか? もしあればご教授くださいませ。
ここで言う、健康保険料は国民健康保険の事を言っていると思いますが、社会保険の健康保険の場合、申告不要を選ぶメリットはないのではないでしょうか?
ふるさと納税のことを考えたら、デメリットしかないのではないでしょうか?
申告分離を選択:国民健康保険料は配当所得を鑑みる
との事になります。よって、国民健康保険に加入している場合は、記事の通りそちらのデメリットも考えなければいけません。
ただ、協会けんぽ等の社会保険に加入している場合は
申告不要を選択:健康保険料は配当所得を鑑みない
申告分離を選択:健康保険料は配当所得を鑑みない
となります。申告分離課税を選んだとしても、保険料は上がらないのですが、ふるさと納税の控除上限金額は分離課税分の所得割額の上昇を考慮するため、分離課税で申告した方が有利に働きます。
これが住民税側の配当所得を分離課税で申告するメリットです。
ただし、配偶者控除や基礎控除の判定基準である、「本人の合計所得金額」については、申告分離で申告するを選択すると、配当所得もカウントされてしまいますので、額によってはふるさと納税の増加より、税額が増加する事があります。「申告不要を選ぶメリット」及び「分離申告するデメリット」は、人によっては無い訳ではございません。
尚、大変恐縮ですがこの記事につきましては令和5年分申告より、上場株式等の配当所得の申告方式の所得税・住民税ごとの変更ができなくなる改正が適用されますので、削除させていただく予定でおります。
ご了承くださいませ。